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Huglobe!(はぐろぶ) | July 23, 2017

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【編集長コラム】バックパッカーの恩送り

backpacker

photo via gapyear.com

 
「恩送り」という言葉を口にするたびに、思い出す人がいます。
4年前、アテネの空港で出会った、名前も知らないドイツ人の女性。
彼女が掛けてくれた一言が、今でも忘れられません。
 
大学生活最後の夏、わたしは大きなバックパックを背負って1人旅をしていました。
今まで見たこともない景色に出会う興奮と、
自分の身は自分で守らなければならない緊張感・・・
たくさんの想いを抱えながら、世界中を旅していました。
 
1人旅3ヶ国目のエジプトに向けて発つため、アテネの空港で時間をつぶしていたとき、
銀髪のマダムが私に話しかけてきました。
 
「すみません、少しの間、荷物を見ていてくださる?あそこのスタンドでコーヒーを買ってきたいの」
 
わたしは、特にすることもなかったので、
「いいですよ、待ってます」
と答えました。
 
「あなたもコーヒー飲む?」
と聞いてくださいましたが、
わたしはしばらくユーロ圏には戻ってこないから、と思い、残っていた硬貨を全て使い切ったあと。
だからもう空港では買い物をしないつもり、と返事をし、
彼女が置いていったカートを軽く手で押さえながら、ベンチに座って待っていました。
 
10分ほどして戻ってきた彼女の手には、コーヒー2つとデニッシュの入った袋が。
 
「荷物を見ていてくれたお礼に、良かったら食べてね」
と私に手渡してくださって。
 
「そんな、特に何もしていないのに・・・ありがとうございます」
と少し戸惑いながらお礼を言うと、マダムは言いました。
 
「こう見えて、わたしも若いころ、バックパッカーだったのよ。
そのとき、旅行先でたくさんの人たちにお世話になったの。
だから、今度はわたしが親切にする番だと思って。
どうか安全に、最後まで楽しい旅を続けてね」
 
そうか。
 
そうだったんだ。
 
この女性は、わたしに“恩送り”をしてくれたんだ。
 
「あの、わたしも大人になってバックパッカーで旅している人を見つけたら、
きっとあなたみたいに助けてあげます。本当にありがとう」
 
そうわたしが答えると、彼女はにっこり笑ってその場を立ち去りました。
 
ほんの一瞬のことで、
彼女の名前も聞かずじまいだったけど、
この時のことを今でもはっきりと思い出すことができます。
 
旅をしていると、イヤな目に遭うこともある。
でもそれ以上に、多くの人の親切に触れることができる。
 
きっとそれは旅に限ったことではなくて、人生を通じてたくさんの優しさを受け取っていて、
見ず知らずの人に“恩返し”をする機会は訪れないかもしれないけれど、
次に出会った誰かにその恩を送ることはできる。
 
わたしに対して周りの人が与えてくれる愛、
それはきっと、長い時を経て、人から人へと受け継がれてきたもの。
その繋がりを絶ってしまわぬように、
ゆっくりゆっくり“恩送り”を繰り返していきたいものです。
 
Mio.


Mio
  • On 2013/09/29